凄いスピードで進化しているDreamtonicsの「Synthesizer V」ですが、2022年07月21日にSynthesizer V Studioの最新バージョン 1.7.0がリリースされました。
今バージョンでは、High Dynamics Voice Model(HDVM)を初めて採用し、Pro版にAIリテイク機能が新たに追加されています。
Synthesizer V Studio Pro 1.7.0の新機能
High Dynamics Voice Model
実際の歌声のダイナミクスの変化を学習・モデリングする「HDVM(High Dynamics Voice Model)」は、より人間らしいリアルな表現が可能となるDreamtonicsが開発した新技術です。
リアルのボーカリストが歌うと楽曲のフレーズによって、声の大きさ、明るさ、響きなどが多様に変化しますが、「Synthesizer V Studio Pro 1.7.0」でHDVMを搭載したことで、強弱や歌の流れのなかでの微妙な声色の変化なども忠実に再現することができるようになりました。
尚、HDVMを利用するには「Synthesizer V Studio Pro」が必要となります。また、AI版歌声データベースのみ対応しています。
AIリテイク機能
AIリテイク機能では、実際の歌手が歌い方や表現を変えて複数のテイクを重ねるように、ピッチや声色の異なるテイクを生成することがきます。
ユーザは複雑なパラメータ編集をしなくても、生成されたテイクから一番良いテイクを選ぶだけで理想の歌声へと近づけることができます。
歌声データベースのアップデート
わたしが所有している歌声データベースは「Saki AI」「Ryo AI」「SOLARIA」となりますが、Synthesizer V Studio Pro 1.7.0 に合わせて以下の歌声データベースがアップデートされました。
Saki AI v123
Ryo AI v 106
Kevin v106
岸晓 (An Xiao) v103
沨漪 (Feng Yi) v103
默辰 (Mo Chen) v103
青溯 (Qing Su) v111
夏色花梨 AI v104
弦巻マキ AI (日本語) v111
弦巻マキ AI (英語) v106
京町セイカ AI v106
ついなちゃん AI v106
エレノアフォルテ AI v105
杏里 v105
SOLARIA v106
機能強化
その他にもバージョン 1.7.0では、Synthesizer V エンジンが強化され、テンション、ラウドネス、ブレス パラメータにおける音質が向上しています。
Synthesizer V Studio Pro 1.7.0の問題点
データベースによって音質の劣化
上記したSynthesizer V Studio Pro 1.7.0の新機能は、動画で確認してもかなり凄いものなので、さぞかし大絶賛の声が上がっていると思っていました。
しかし、ツイッターなどでは、ネガティブな情報が非常に多く、データベースによっては音質の劣化などもあるようです。
AHSのほうでも「作成されていたプロジェクトデータに影響が出る声質の変化があるとのご報告を多数頂きました。」と情報を出しています。
2022年09月30日にリリースされた「Synthesizer V Studio 1.7.1」で、歌声パネル内のセレクターからインストールされている複数の歌声データベースのバージョンを切り替えられるようになっています。
初のアップデート見送り
普段は即アップデートするのですが、前バージョンで作ったボーカルデータの再現性などで、いといろとネガティブな情報も「Synthesizer V Studio Pro 1.7.0」は出ているので、今回はアップデートを初めて見送ることにしました。
今バージョンはアップデートを見送りましたが、AIリテイク機能をどうしても使用してみたいので、いち早くメーカーのほうで解決してもらえたらと思います。
記事公開日:2022年08月05日 by KSTY